大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26(あ)732 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人Aの負担とする。

理 由

被告人B、Aの弁護人小泉英一の上告趣意について。

第一点 記録によると第一審判決は所論の事実を認定するについて両被告人の公

判廷における自白と賍品の存在を証拠として挙示しているのであるから、各被告人

の自白は相被告人の自白と賍品の存在によつて補強されているのである。そしてこ

れらの証拠を綜合すると右の如き犯罪事実を認定することができるのであるから、

第一審判決には所論の如く被告人の自白のみで有罪としたり、虚無の証拠によつて

事実を認定したりした違法はないのである。従つて所論憲法違反の主張はその前提

を欠き採用し得ない。

第二点 被告人の冒頭陳述が事実認定の証拠となることは当裁判所の判例とする

ところであるから(昭和二五年(あ)第二四九〇号同二六年七月二六日第一小法廷

判決、判例集五巻八号一六五二頁参照)論旨はとるを得ない。

第三点 論旨は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかも第一審判決の事実摘

示に徴し、所論の物件は他人の所有物たることは明白であるからこれをその被害者

に還付すべきは当然のことである。第一審判決には所論の如き違法もないのである。

第四点 論旨は量刑不当の主張で刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録

を調べても同四一一条を適用すべき事由は認められない。

被告人Aの弁護人溝口喜方の上告趣意について。

論旨は総て刑訴四〇五条の上告理由に当らない。所論引用の当裁判所の各判例は

今これを変更する理由は認められない。しかも記録によると第一審第一回公判にお

いて、裁判官は被告人等に対し、可なり詳細な質問をし被告人等の応答を得てはい

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るが、その質問は被告人等が公訴事実を全部認めた後に行われたものであり、その

内容も多数の公訴犯罪事実につき、被告人等の右自白を逐一確かめることを主とし

たもので、所論の如く、裁判官が予断をもつて一方に偏した心証を形成しつつ審理

を進めたものとは到底考えることができない。

従つて所論の見解を是認しても、刑訴四一一条を適用して原判決を破棄すべきも

のとは認められないのである。

被告人Aの上告趣意について。

論旨は寛大な処分を願うもので刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を

調べても同四一一条を適用して原判決を破棄すべき量刑不当の事由も認められない。

よつて刑訴四〇八条、一八一条一項により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見である。

昭和二七年五月二九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

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